名古屋シャーロック・ホームズ研究会の「第4回シャーロック・ホームズ読書会」を 2018 年3月 10 日(土)に実施しました。会場は名古屋駅すぐ近くのホテル「チサン イン 名古屋」の会議室です。
課題作品はシリーズ4作目の『回想のシャーロック・ホームズ』。「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」はホームズが探偵業を始めるきっかけとなった事件であり、「マズグレーヴ家の儀式書」は大学時代の事件。まさにホームズのメイキング・オブの作品です。と思いきや、「最後の事件」で宿敵モリアーティー教授と闘ってホームズは死んでしまう!? そんな重要事件が含まれる今回の読書会で皆さんはどんな感想を話されるのか私も興味津々でした。
今回は8名の方が参加していただき、内2名は初参加の方でした。グループに分かれず、全員で読書会をしました1)。
参加者の方はほとんどが創元推理文庫で課題作品を読み(内1名は電子書籍版)、1名は河出書房新社の単行本で読まれていました。河出書房新社の単行本版では詳しい注が載っているため、より作品について深く知ることができるようになっています。
代表的な感想は以下です。
現代の視点から見ると、結構ツッコミどころも多いのがホームズ作品ですが、そういうことを楽しめるのもまさにホームズ物語を読む魅力ですね。
ホームズに詳しい方からは、モリアーティー教授はホームズしか見ていないので、実は教授は存在せず、ホームズの妄想あるいは虚偽の証言である、という説があることを教えていただきました。確かに暇つぶしにコカイン注射をやるようなホームズの証言は信頼できないのかもしれませんし(いわゆる「信頼できない語り手」というやつですね)、あるいはホームズが何らかの意図があってそういう嘘をついたのか・・・などといろいろ想像を膨らませると面白いですね。
初めて読まれた方も「ホームズは死んだけど、実は復活しちゃう!?」ということに、巻末の解説を読んだりして気付いてしまうようになっています。でも、どうやって復活するのかを知るとまだまだ驚きがあるはずです。少々のネタバレごときでホームズ物語の魅力は減りません!
アヘンがどういう形状の麻薬なのか、カレーに混ぜるのは可能なのか、という質問がありました。以下の愛知県警察のページで写真付きで紹介されていますが、触るとポロポロ崩れて粉末状になるようにも見えます。
毎度のことながら、ジェレミー・ブレットやベネディクト・カンバーバッチの TV ドラマとの比較の話も出てきました。
今回は短編集ということで、どの短編が一番好きかの「マイベスト投票会」を行いました。読書会前に投票を行い、結果は最後に発表しました。どれに投票したのかは最初は内緒にして、読書会のなかで他の人はどれに投票したのかを探るという遊びでもあります。
今回は投票用の専用 iPad アプリを作り、簡単に投票できるようにしました。結果もグラフで表示される仕組みになっています。
そもそも参加者の母数が少ないので、投票数が分散してあまり面白い結果にはなりませんでしたが、シャーロッキアン(ホームズのファン)の間では、作品の投票をすることは定番の「ゲーム」となっています。少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。
【投票結果】
「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」 → 2票
「黄色い顔」 → 2票
「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」 → 1票
「マズグレーヴ家の儀式書」 → 1票
「ライゲートの大地主」 → 1票
「最後の事件」 → 1票
前回から始めた “育成型” ハンドブック。今回はホームズ関連の年表を配布しました。前回読書会で「ホームズって何歳ぐらいなんだろう」という意見があり、やはり小説を読む上で主人公の年齢はイメージ作りで大事です(例えば、ティーネイジャーなのか中年男性なのかでずいぶん違う印象になります)。年表にはホームズとワトソンの年齢を併記し、各事件が彼らが何歳時点だったのかすぐに分かるようにしてあります。なお、ホームズ関連の年表自体がホームズファンの間では研究対象となっており、今回お配りしたのはその代表的な説です。研究者によっては別の説を唱える人もいます。
ハンドブックには読書会の参加記録として、参加シールを貼るページがあり、全部シールを集めると一つのイラストになるようになっています。今回はホームズの顔部分で特に「おいしい」シールでした。
ホームズ関連の小ネタを紹介するプチセッションでは、ホームズ柄のルービックキューブ用シールをお配りしました。透明なフィルムのシールとなっておりルービックキューブに貼って使うことができますが、ルービックキューブ以外にもスマートフォンや SUICA カードなど好きなところに貼って遊ぶこともできます。柄はホームズに関係するアイテムとなっており、ホームズのシルエット、バイオリン、パイプ、虫眼鏡、ディアストーカー(ホームズの帽子)、I AM SHERLOCKED の文字(ドラマ『シャーロック』からのネタです)、となっています。なお、ディアストーカーだけは、主催者自身が描いたオリジナルのイラストです。
読書会会場では水とコーヒーが自由に飲めることが事前に分かっていたので、スコーンを持参しみんなでいただきました。チョコレートをお持ちいただいた方もいらっしゃいました。
次回の読書会は、4月7日(土)午前に、名古屋国際センターで行います。課題本は第5作目の『バスカヴィル家の犬』です。読書会と合わせたビデオ鑑賞会も検討しています。近日中に詳細を発表予定です。