2018 年6月2日(土)に「第7回シャーロック・ホームズ読書会」を開催しました。場所はウインクあいちです。
課題作品は『恐怖の谷』。シャーロック・ホームズ・シリーズには4つの長編がありますが、その最後の作品となります。今回は4人の方にお越しいただきました。
シャーロック・ホームズ読書会では、毎回読書会の参考になるような資料を配付し、それを収めたファイルを「ハンドブック」と呼んでいます。
今回のハンドブックの表紙(表紙は毎回お配りし、着せ替え可能になっています)はアーサー・コナン・ドイルの蔵書票です。蔵書票には家紋が含まれ、ドイルのルーツのアイルランドとも関わりがあります。『恐怖の谷』もアイルランドに関係する物語なので今回の表紙をこの蔵書票としました。
他にも有名どころのアニメやドラマのエピソード一覧、モリアーティー教授の部屋に飾られていると思われる絵画も紹介しました。モリアーティー教授の兄弟についての情報が混乱しやすいので、その整理もしました。
また、“Sherlock Holmes Map of London” というホームズの時代の地図を復刻したものをお見せしました。これはホームズ物語のロンドンの舞台に印を付けてあり、実際の地図上で確認することでよりリアルに物語の世界を楽しめます。
Sherlock Holmes Map of London - Amazon
同時に、Google マップ上で事件の舞台に印を付けるプロジェクトも紹介しました。印のある部分をクリックすれば該当する事件名と簡単な解説(英語)を読むことができます。Google マップですので、「ストリートビュー」機能で実際にその場を歩いているかのような体験もできます。
書籍としては、“The Wit & Wisdom of Sherlock Holmes” と『シャーロック・ホームズからの言葉』というホームズの語録のようなものを紹介しました。
The Wit & Wisdom of Sherlock Holmes - Amazon
シャーロック・ホームズからの言葉 ――名せりふで読むホームズ全作品 - Amazon
さらに eBay でアメリカから購入した『恐怖の谷』のアメリカ版初版本をご覧いただきました。1915 年に約2万6千部印刷されたものの1つです1)。100 年前の本なのでさすがに傷みや汚れが多いですが、ある程度貴重なものです。
課題作品の『恐怖の谷』は真相が明らかにならない憶測や曖昧な部分が随所にあるため、読んでいる側としてもディテールが記憶に残りにくい作品だったようです。読書会では事実関係を確認する作業を何度も行いました。
それでもさすがドイルの小説だなという箇所や、ホームズの捜査に感心する意見もありました。たとえば以下のような意見がありました。
・マナーハウス(荘園屋敷)が舞台ということで、イギリス的な作品
・悪人はアメリカ人という設定が面白い
・秘密結社が極道の世界みたいだし、宗教じみている
・些細だけれども事件の鍵を握る部分を見逃さないホームズは、目の付け所がいい
また、ホームズの宿敵・モリアーティー教授について言及される話でもあるので、いろいろと想像を膨らませるのが面白かったです。
『恐怖の谷』はホームズ作品の中でも比較的マイナーな作品ではありますが、暗号解読、アメリカの秘密結社、復讐劇(ホームズ物語では定番ですね)、潜入捜査、モリアーティー教授の存在・・・など面白い要素が詰まった作品でした。
次回は7月7日(土)午前に、東別院会館にて行います。課題作品は短編集の『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』です。読書会も残り2作品となりました。今からでも間に合います。ぜひ最後までお付き合いください!