======第9回シャーロック・ホームズ読書会フォローアップ====== 2018 年8月 10 日(金)に「第9回シャーロック・ホームズ読書会」を開催しました。会場はフジコミュニティーセンターです。 {{ :readholmes9:20180810_184916.jpg?400 |}} {{ :readholmes9:20180810_184929.jpg?400 |}} 課題作品は短編集の『シャーロック・ホームズの事件簿』で、シリーズ最終作となります。5名の方に参加いただき、うち1名は初参加の方です。 {{ :readholmes9:20180811_083724.jpg?400 |}}
左が創元推理文庫、右が河出書房新社の単行本。
=====大久保ゆう先生からのメッセージ===== 前回読書会で翻訳家の大久保ゆう先生に参加いただく予定でしたが、豪雨の影響で急遽中止となりました。今回改めて参加をと考えていましたが、これもスケジュールの関係で現実化はできませんでした。 その代わりに先生のご厚意で、参加者の向けにメッセージをお送りいただきましたので、当日は配布をいたしました。翻訳作品を楽しむことについてのとても素敵な文章でした! =====キーホルダー===== 主催者の母はトールペイント((家具などにペイントするアート))を趣味としており、この読書会のためにキーホルダーを作ってもらったので、参加者の方にお配りしました。表側がベイカー街 221B のドア、裏側の人形の羅列は「踊る人形」の暗号です。暗号は「名古屋シャーロック・ホームズ研究会」を意味する NSHSG(Nagoya Sherlock Holmes Study Gruop)を表しています。 {{ :readholmes9:20180811_092302.jpg?400 |}} =====出席シール===== シャーロック・ホームズ読書会では参加のたびに参加記録としてシールをお配りしていました。台紙に貼ると最終的には一つのイラストになるようになっています。最終的には以下のようになります。 {{ :readholmes9:20180811_083824v2.jpg?400 |}} 参加者の中にはほぼコンプリートの方もいらっしゃいました。 ちなみに、このイラストの元ネタはロンドンのシャーロック・ホームズ博物館で買ってきたポストカードです((ポストカードをスキャンして Photoshop で修正して参加シールを作りました。))。同じイラストは博物館前にもプレートとして掲げてあります。 {{ :readholmes9:20180811_083755.jpg?400 |}}
元ネタのポストカード。
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シャーロック・ホームズ博物館のプレート。
=====ハンドブック、プチセッション===== シャーロック・ホームズ読書会では、毎回読書会の参考になるような資料を配付し、それを収めたファイルを「ハンドブック」と呼んでいます。 ハンドブックの表紙は毎回お配りし、ファイルの表紙を「着せ替え」ができるようになっています。今回は表紙画像として「高名の依頼人」でホームズが暴漢に襲われているシーンを持ってきました。 {{ :readholmes9:20180811_083904v2.jpg?400 |}} 資料の一つ目はシャーロック・ホームズに関するクイズです。ホームズ関連の本などに載っていていたクイズを転載しましたが、参加者の方々からは「難しすぎる」という意見でした。ホームズ物語を何度も繰り返し読んでいるような人向けのクイズだったかもしれません。 次は建物が事件名となっている作品の一覧です。建物名がタイトルの事件同士は混同しやすいため、改めてまとめてみました。 『シャーロック・ホームズの事件簿』に出てくるイラストを比較したりもしています。 最後は海外で話題になっていた[[https://www.facebook.com/audibleuk/photos/a.10150600970009069.395073.91595289068/10155970752149069/|「ホームズ・ファンがやりがちなこと」]]を紹介しました。 {{ :readholmes9:20180811_083935.jpg?400 |}}
資料の一部。
これまでお配りしてきたハンドブックを全て合わせると 1cm 弱の分厚さになりました。ハンドブックの内容は読書会の感想と合わせて出版することを予定しています。 =====読書会===== 前回読書会の課題作品が『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』で、今回が『シャーロック・ホームズの事件簿』。まるで前回が最後の小説のようです。参加者のお一人が間違って『最後の挨拶』の方をお持ちになり、間違えやすいので念を押して開催案内で書いておくべきでした・・・。 参加者の方は創元推理文庫、河出書房新社の単行本、創元推理文庫(Kindle 版)、新潮文庫(Kindle 版)と各々さまざまなバージョンで読まれていました。 読書会ではいろいろな方向から議論が盛り上がりました。今回はいつもに増してツッコミどころがある作品が多かったからかもしれません。ホームズ作品は最後の方になると、過去のネタの使い回しのようなものが時々見られますが、それでも時々キラリと光る新しい要素があったりもします。初期の作品からの変化を追うのも楽しいし、逆にずっと変わらない部分も面白い。全体を通して読んでこその発見でした。 ホームズ作品は時系列で並べられているわけではありませんし、続き物作品はほとんどありません。過去作に読んでいない作品がある方も、今回初参加の方も、意外とちゃんと話を追えるようになっています。 代表的な意見は以下の通りです。 ・毎回ツッコミどころが多い。 ・「マザリンの宝石」:犯人が間抜け。 ・「ソア橋の怪事件」:他殺に見せかけた自殺が面白い。 ・「這う男」:インパクトが強い。 ・「高名の依頼人」や「マザリンの宝石」は、現在日本や世界で進行中の出来事と重なる。 ・「〈ショスコム・オールド・プレース〉」:エンディングがゆるゆるで納得いかない。 ・「サセックスの吸血鬼」:明らかになった真相が、冒頭のイメージと真逆にひっくり返るところがうまい。 ・気楽に読める作品が多い。 ・今回はホームズ自身が書いた作品が2作品あり、ホームズがワトスンをどう思っているのか分かった。 ・ホームズとワトソンの関係性がまた興味深い。 ・「マザリンの宝石」:人形と人では気配が違うので分かるのではないか。 ・三人称視点やホームズ自身による物語など、ワトスン以外が書いている作品があるとは知らなくて驚いた。 ・礼儀正しいイギリス人の感じがよかった。 ・ホームズは機械人間のイメージがあったが、意外と情緒的。 ・「ライオンのたてがみ」:ツッコミどころが多い。 ・ホームズ作品は宝石に関わるものや、窓から覗くものが多い。 その他、「マザリンの宝石」の蝋人形を使うトリックに関連して、最近レオパレス 21 から「Man on the Curtain」という商品が出されたことを紹介していただきました。防犯目的で影を利用するなんて、まさにホームズ物語で出てきたそのままですね。 Man On The Curtain on Vimeo https://vimeo.com/261274912 また、シャーロック・ホームズ物語は発表当時イギリスの「ストランド・マガジン」等で掲載されていましたが、ストランド・マガジンそのままの体裁で再現した翻訳本が今秋に発売されることが話題に上がりました。 ストランド版 続シャーロック・ホームズの冒険 https://www.amazon.co.jp/dp/B07DY2H146/ 挿絵を高精細版に修正する作業や翻訳の過程を、翻訳者の方が Twitter でも公開しています。少数部数しか出版しないので、予約段階で売り切れる可能性が高いらしく、気になる方はお早めに予約した方がよさそうです。 ストランド版 シャーロック・ホームズ (@strand_japan) | Twitter https://twitter.com/strand_japan 毎回の通り、知らなかった知識や新しい視点を共有していただき、読書会だからこそ学べる点もたくさんありました! 参加者の方々には、今後ホームズ関連でチャレンジしたいことがあれば教えてほしいと聞いてみました。以下のような返答をいただきました。 ・ホームズと宗教の関係について研究をしたい。 ・関連ドラマをもっと観てみたい。 ・自分で小説を書いているのでその参考にしたい。 ・同じ英国ミステリである、アガサ・クリスティー作品を読んでみたい。 ・イギリスに行ってみたい。 読書会後は近くのファミレスで食事をしながら、ホームズや読書、その他いろいろな話題で盛り上がりました。 =====今後について===== 前回のフォローアップでも書きましたが、今後はひっそりとホームズ関連の情報発信をしていこうかなと考えています。サイトのタイトルは当初のものはイマイチだったので新しいものに変更しました。今回の読書会に触発されてクイズコーナーも新設予定です。ぜひ時々覗いてみて下さい! Sherlock Holmes Topia – シャーロック・ホームズ・トピア https://sh-topia.com/ =====最後に===== 私は昔は一応ホームズを読んでいましたし、シャーロッキアンを自称していましたが、シャーロック・ホームズ読書会でこの1年間ほどちゃんと読んだのは実はこれが初めてです。非常に勉強になりましたし、今は知識がたくさん増えて結構マニアになったつもりです^^ おそらく、今の段階で関連するドラマや映画を観直すととても面白いのではないかなと思います。 ただ、ドラマや映画はいろいろありますが、すべての基本はオリジナルの小説です。イメージだけ、ちょっと映画やドラマを観ただけでホームズを語る人が多いなか、読書会に参加いただいた方は「本当のホームズ」を知ることで、きっと何らかのプラスになることはあったのではないかとと願っています。 私自身主催として慣れないイベント運営が実現できたのも、「シャーロック・ホームズが好き」というただそれだけの気持ちで突っ走れたからです。現状維持を避けて毎回試行錯誤と改良を重ねてきたつもりですし、この1年で学んだことはたくさんありました。 各回で至らない部分もあったかもしれませんし、満足していただけたろうかと悩むこともたくさんありましたが、参加して下さる方がいることが一番の支えでした。 参加して下さった皆さん、ありがとうございました。そして、シャーロック・ホームズ、ありがとう! 今後もホームズ関係で何かやってほしいことがあったら、いつでも声を掛けて下さい!